けんさアラカルト
寄生虫をもう一度見直そう
宮原 道明
1
1九州大学医療技術短期大学部
pp.138
発行日 1998年2月1日
Published Date 1998/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903339
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最近確かに寄生虫は激減しているが,医学部から寄生虫学教室が姿を消し始め,臨床検査の場においても関心が低くなっていることはまことに残念なことである.現に1996年から,寄生虫学的検査は人間ドックの検査項目から除外されている.しかしながら,一部の寄生虫の再燃や新顔の寄生虫の出現があり,さらに目を海外に向けると,多くの人々がマラリアをはじめとする寄生虫疾患に悩まされている.そのため,先のデンバーにおけるサミット(先進国首脳会議)において,世界的な寄生虫対策がわが国から提案されたと聞いている.
マラリアは人類最古の感染症の1つであり,今なお世界的に大きな問題になっている.マラリアは熱帯および亜熱帯の広い地域に分布し,流行地に21億人が居住し,毎年3〜5億人が感染し,150〜300万人の死亡があると推定されている.観光白書によると,1997年には1,600万人を超す人が海外へ出かけている.そのため,海外でマラリアに感染する人が毎年100人以上おり,なかには悪性の熱帯熱マラリアで死亡する人もいる.今後の問題はいかにマラリアを早期に,かつまた確実に診断するかである1).
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