扉
イチゴ白書をもう一度
宝金 清博
1
1札幌医科大学脳神経外科
pp.563-564
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902218
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最近,「医局解体」という少々物騒なコピーが,ふと脳裏をかすめ,二度の教授選ですっかり萎えてしまった私の感性を刺激します.
言うまでもなく,このキャッチコピーは,1960年代後半,日本の多くの医学部で真剣に議論されたテーマです.今でも,ある世代には苦くまた一面nostalgicな毒を放出しますが,一方,これに全く無反応な世代も確実に増えています.多分,本誌の読者の多くも,後者に属すると思われます.私はといえば,この中間と言える少数派に属していると思われます.大学入学直後,体育会系のクラブに入部したその日,この4文字が,汚れた部室の壁に赤いペンキで例の独特の字体で(僕の年齢より上の方であれば,“あれね”って感じでしょう)殴り書きされていたことを鮮明に思い出します.つい昨日までは高校生であった当時の私には,その意味は全く理解しがたいものではあったわけですが,あの赤い色と独特の字体のもつ毒性とか破壊性とかは30年後の今も鮮やかに蘇ります.
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