この人と30分
—南ベトナム住民は医療の恵みを待っていた—南ベトナム医療団に参加した2人のナース山口 ユリ子さん 明石 辰子さん
長谷川 泉
pp.66-68
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913534
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南ベトナムに派遣された長崎大学医学部の医療団一行6名は,去る8月から4ヵ月間サイゴンの国立救急病院で市民の治療に当たるとともに熱帯医学の研究に従事して,旧臘帰国した。この医療団には長崎大第二外科婦長の山口ユリ子さんと,同外科の看護婦明石辰子さんの2人のナースが加わっていた。南ベトナムの政情はかなり不安定で,目下全世界のうちで戦争の危機にさらされているアフリカのコンゴとともに,世界の凝視のなかにある二つの焦点のうちの一つである。現に医療団が帰国の途につく直前にも,クーデターのきざしがあった。そのような動乱のなかにあっても毅然として日本の医療,看護の真価を発揮して現地民に親しまれ,医療不毛のベトナムに日本への限りない信頼を植えつけて帰国の際は,院長以下泣いて滞在を懇願される状況であったという。旧臘25日,夜8時40分羽田着の日航機で帰国して旅装をとく暇もあまりなく政府関係への報告をすませたばかりのあわただしい寸暇をさいて本社をおとずれ,今回の派遣の肝いり役をつとめた医学部長後藤敏郎教授もまじえて,こもごも語るところがあった。
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