想園
肩身のせまい思い
小林 登志子
1
1広島県安芸郡府中町青崎東洋工業付属病院
pp.68
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913508
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「ところで職業は何ですか?」旅先で道連れを得てやっとスラスラと話しはじめたときこう聞かれるととたんに口ごもってしまうのは私だけでしょうか? 素直に堂々と誇りを持っていえない情なさがあるのは“看護婦”という3字でいろいろのことにぶつかったからかも知れません。
就職した頃これから頑張るんだとプライドとファイトの塊のときこんなことがありました。京都在住者の郷里高校出身者レクレーションがあり久しぶりで郷里の味があじわえると喜々として出かけました。自己紹介の時堂々と「○○病院の看護婦をしています」といった後の皆の雰囲気。私のゆがんだ見方かと思っていたらその後大学病院に勤務の看護婦さんは「○×大学に勤めております」と小さな声でいわれただけでした。またこんなこともあったっけ。神社仏閣をボーイフレンドに案内してもらって御仏の顔にやすらぎを感じつつサイン帳の職業欄に筆を持っていったら肩ごしに「国家公務員と書いたら」といわれて大口論となり,仏の顔がうらめしくなったりして少しずつこの呼び名に魅力を失なっていったようです。
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