看護を科学しよう・3
もう一度見直そう—このシリーズを始めるにあたって
倉田 正一
1
,
内田 卿子
2
1慶応義塾大学
2聖路加国際病院
pp.73
発行日 1967年6月1日
Published Date 1967/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913180
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勘や経験をいかすには,その基礎として科学的な分析・観察が必要となる。看護力はチームの量と質の相乗として発揮されるのであるから,個人の観察とともにチーム・メンバーとしての個人の相互関係も分析してみなければならない。
従来,作業の科学的な観察は次のような方法で行なわれてきた。①労働生理学的観察,②労働衛生学的観察,③労働心理学的観察,以上三つの方法は,労働科学としてお互いに密接な関係をもっている。近年,インダストリアル・エンジニアリング(IE)が非常な進歩をとげているが,これがまた上記3法といっしょに④の方法として利用できると思われる。看護部門では従来時間研究,ワークサンプリングが利用されているが,その利用の仕方はこれらの方法が本来もっている目的とは異なっており,IEの立場から別の観点で利用を見直してよいように思う。IEにはチーム活動分析のためのよい分析法が多数含まれており,大いに活用さるべきであろう。⑤として人間工学的観察があげられる。これは看護で用いるあらゆる「もの」と,これに対する看護婦の生理的・心理的能力との関係を調べて,作業をより快適に,楽に,早く,正確に進めようとする場合用いられる基礎的な手法なのである。
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