Nursing Study
講評 二つの立場からのとらえ方はよい
本誌看護研究委員会
pp.102-103
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913126
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看護学生として貴重な経験をされ,心身障害児の問題を少しでも世に訴えたいと,この報告文を書いたあなたの気持ちはよくわかるし,大切なことだと思う。また,あなたなりの考えを持たれ,社会の一員として,看護学生としての二つの立場からまとめられたことはよいと思う。ここに二つの立場でまとめられた内容について私の考えを述べたい。
A.社会人の一人として私たちが考えなければならないこと
ここで報告者は,国家の行政措置をあげるにとどまっているが,心身障害児問題としてこれだけでよいだろうか。最近心身障害児問題が新聞,ラジオにいろいろ訴えられてはいるが,一般の人たちでその実態を正しく把握している人が何人いるだろうか。報告者も触れているように,すべての児童はまず健康に生んでもらい,育ててもらわなければならないということと,これは児童の基本的な権利として今世紀のはじめ以後,特に主張されている世界的な思潮であるが,心身障害児に対する一般の正しい認識と施策の貧弱なことは,心身障害児の問題に直接関係している人びとにとってばかりでなく,広く国民全体からみて,不幸なことだといわねばならない。心身障害児に対する施設を次第に整備していくことは必要なことであり,また当然のことであるが,これまでこのような施設がなぜ十分につくられなかったかということその社会的原因を考えてみることも,これからのいろいろな施策を考えていく上に参考になるのではないだろうか。
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