医学と看護4月のテーマ
鞭打ち損傷
南 光彦
1
1東京厚生年金病院整形外科
pp.53-56
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913111
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はじめに
我々が普段接する疾患の中では頸椎の損傷はそんなに数の多い疾患ではなかった。頸椎の損傷は多くの場合,災害外科やスポーツ外傷にみられ,いったん頸椎の損傷が起こると,極めて重篤な症状を呈するので相当重要視されていたが,最近は特に交通の煩雑化,自動車の激増,高速化に伴い,交通外傷の著しい増加をきたし,頸椎の損傷が数多く見られるようになったことは周知の事実である。
特に頸部の損傷は脳神経外科医,整形外科医のみならず,多くの臨床医の関心を集める疾患とされている。
頸部損傷の中で,特有な発生機序と独特な経過をたどる鞭打ち損傷すなわち“whiplash injury”は最近わが国においても注目されるようになり,わが国の交通外傷が欧米のそれに近づきつつある事実を物語っているように思われる。
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