シンポジウム いわゆる鞭打ち損傷
いわゆる鞭打ち損傷の症状
土屋 弘吉
1
,
土屋 恒篤
1
,
田口 怜
1
Kokichi TSUCHIYA
1
1横浜市立大学医学部整形外科学教室
pp.278-287
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908452
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頸椎鞭打ち損傷についての記載は1928年Croweにはじまるといわれるが,頸部外傷における"whiplash mechanism"の特殊な意味づけを強調したのはDavis(1945)である.GayおよびAbott(1953),Cammack(1957)の論文はそれぞれ50例の経験にもとづいたもので,この問題に関する最も古典的論文であるが,その観察の周到さや洞察の深さは誠に驚くべきものがあり,臨床症状の記載などはこれに加えるべきものは15年後の現在でも余り多くはない.またSeletz(1958)は本症の複雑な病像を頸部から脳にわたる詳細な神経血管の局所解剖に基づいて解明し,体系づけており,その後の多くの論文の草分けとなつた.
わが国では飯野(1958)がはじめて鞭打ち損傷の概念を紹介したが,この問題が現在のような多くの関心を集めたのは最近2年来のことである.
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