看護の潮 ゆたかな人生への出発
看護人生相談—あなたの心の糧に
結婚/仕事と心中する時代は去った
羽仁 説子
pp.22-23
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913064
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いつまでも若く美しくあるために
女性が結婚したいと思うのは,大きな自然の法則です。女性が結婚をきらっていたら,人類はとうのむかしに絶えてしまっていたでしょう。その意味で,かつて,平塚雷鳥先生の青踏社運動のスローガン—女はもと太陽であったというのは,正しいと思います。ところが,社会の発達,社会制度の移り変わりに伴って,女性は,私たち自身の特色の故に,かえって,窮地に追いこめられてしまいました。石川達三氏は,“結婚の限界”という小説のなかで,“結婚とは性生活をともなった女中奉公か”という問題提起をしています。静かに反省してみたとき,そのものずばりだという気がします。
結婚を美化し,何か神秘のベールをかぶせようとする人びとは,実は,はじめから,本気で結婚を考えず,結婚は女の終身就職という安全な終点だと片づけているのです。ですから,周囲が若い人に結婚をすすめるときに“この人であきらめないと良縁はないよ”といい,それがほとんどの場合結婚のきめてになっているといってもいいすぎではありません。“一人前の看護婦になることで精いっぱい”であったときに,結婚を考えなかったのは当然です。先日,新聞—という決して女性に対して進んだ考え方をもっていない言論機関でさえ,現在の女性の結婚適令期は28歳だとしていました。戦争前には,20歳が適令期であったのに対して大きな変化です。
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