看護の潮 ゆたかな人生への出発
看護人生相談—あなたの心の糧に
宗教/『私だけの神』との対話
後藤 宏行
1
1名古屋学院大
pp.20-21
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913063
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『私』だけの神との対話
私は鎌倉八幡宮の近くに住んでいます。いうとりどりの参拝者たちの晴着姿をながめるのも,正月の一つのたのしみになっています。ところが今年は,元日が雨であったせいか,2日3日の八幡宮は異常な混雑ぶり。例のいちょうのある石段の下では,警察官が綱をはり,人止めをしているのです。潮時をみはからっては,5,6百人ずつの群衆を,まるでマスにはかってベルトコンベアにのせるように,拝殿のほうへ誘導しています。私のとなりにいた娘さんが「まるで新宿駅の中央線ホームね」と,わらっていました。
ところが,拝殿のまえがまたたいへんなのです。数人警官がマイクで「立ち止まらないでください。立ち止まるときけんです。」と,がなりつづけています。いったい三ヵ日108万人といわれる参詣者たちは,誰に,何を,祈りにきたのでしょう。立ち止まることも,頭を下げるひまもなしに,ただ,群衆の流れに身をあずけっぱなしにしたまま拝殿のまえを通りすぎるだけで──。
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