ナースのための臨床薬理
新しい生合成,合成化学療法剤〈1〉
橘 敏也
1
1聖路加国際病院内科
pp.4
発行日 1966年11月1日
Published Date 1966/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912921
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そもそも化学療法のはじめはEhrlich—奏らのサルヴァルサンにしても,Schulemanらのプラスモヒンにしても,Domagkらの赤色プロンドジールに出発したFourneauらのサルファ剤にしても,いずれもひとが考え,つくり出した化学物質によるものであった。ついでFlemmingがペニシリンを発見し,それが製剤化されるに至って,化学療法の中心は,かびという微生物由来の化学物質を利用する抗生物質がその中心となった。
今日ではおびただしい種類の抗生物質がとり出され,将来もこの抗生物質が化学療法の主役を占めていくことは疑いのないところであろう。ところが最近になって,新しい抗生物質をみつけ出すことの他に,それを利用して別個の新しい化学療法剤につくりかえたり,あるいは本来の化学療法剤に還って,すべてひと産生の化学療法剤で抗生物質に劣らない化学療法物質がつくられるようになった。
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