看護□食事療法
胃手術前後の食事
宮川 哲子
1
1虎の門病院栄養部
pp.76
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912775
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手術前に十分な栄養をあたえ,体力をつけておくことは手術のときに,また術後の回復に大きな影響をあたえることはよく知られていることです。しかし手術をする,という大きな不安の前にはなかなか十分に食べるという余裕がでてこないのが,患っている人の心理状態なのです。無理じいをしないで自然のままで十分な栄養がとれる状態にもってゆくことが大切なことなのです。胃を手術する患者にもその病気はいろいろあり,その手術の大きさも全部とってしまう人,1/3,2/3,2/3とる人と段階があります。手術前には手術にたえる体力をつけるため十分な栄養をあたえたいのですが,この場合は普通に食事をしている人は少なく,腹部の膨満感や,もたれる感じのある人は自分自身で自然に食事を加減している人が多くて,長い間には栄養不良の状態になっているようです。胃部に疼痛があったり,狭容症状があったりすればなおさらのことです。胃癌の場合は食事制限のほかに,癌そのものによって低栄養状態が生ずるため,その低下もひどいのですが,潰瘍や胃炎の場合も栄養低下状態が時々見られるといわれます。
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