特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第2部 よりよく学ぶために
専門書を読むことについて—職業人の一つの責任
小林 富美栄
1
1厚生省医務局医事科
pp.64-67
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912537
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成長は問題意識から
看護婦の資格を得たその時の私共がもつている能力は先輩看護婦の指導や援助をうけながら働らける程度のものでありましよう。いわゆる駈け出しということがあてはまると思います。その状態から職業的能力をさらに発展させてゆくことが,その仕事にたずさわつているものの当然もつべき責任でありましよう。私共は時々,学校を卒業した時の状態が熟練した能力の高い看護婦であるように社会から考えられ,また自分自身でも期待をもつことがあります。
仕事についた時をもつて私共は再び自分の能力を職務に適応させ,さらにより高い能力へと発展させるべくスタートラインに立つということになると私は考えます。したがつて,そこから勉強がはじまります。この勉強は実際の経験を通しての自己学習によつて行なわれるものですが,そのような過程ではさらに新らしい知識を得,その知識が土台になつてまた一歩進んだ,あるいは横に広がった学習活動が自分自身によつて展開されてゆきましよう。このような学習の多くは,読書という静かな形で行なわれることが多いのではないかと思います。本をよむ,特に職業的能力を発展助長させるための学問的な書物をよむ動機というものは,自らが勉強しようという動機を得たときに起つてくるものでしよう。
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