特集 人とのかかわりを職業とする意味
人とのかかわりを職業とすることの意味
武井 麻子
1
1日本赤十字看護大学
pp.318-322
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905313
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ヒューマン・サーヴィスの心理的特徴
看護はヒューマン・サーヴィスである.もちろん,医師,ソーシャルワーカー,臨床心理士,作業療法士といった職業もヒューマン・サーヴィスであることには変わりなく,取りたてて看護だけがそうであるといっているわけではない.そしてヒューマン・サーヴィスには,人間の,人間による,人間のための仕事であるがゆえに生ずる,共通の難しさがある.たとえば,バーンアウトの現象とは,ヒューマン・サーヴィスに従事する人々の間でいち早く注目されるようになった問題の1つであるが,職種の如何にかかわらず,よく似た様相を示しているのである.一例を挙げれば,ある社会福祉施設に勤務する職員を対象とした研究1)でバーンアウトにおちいりやすいときとして挙げられているのは,①職場の体制が,職員の専門的判断を生かさないものであるとき,②社会福祉は営利事業であってはならないとの理想がくずれるとき,③職場状況からみて同年代の仲間づくりが難しいとき,④看護など,他の専門職に比べてなにも技術をもっていないと感じるとき,⑤日常的な反復作業の意味が見失われるとき,⑥勤務が長時間,変則,かつ休暇がとれなくて,心身の疲労の回復が困難なとき,⑦仕事に見合う賃金をもらっていないと感じるとき,となっている.看護婦の場合に置き換えてもそのまま当てはまるのではないだろうか.
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