想園
余裕を持つて
愛宕 すみ子
pp.68-69
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912370
- 有料閲覧
- 文献概要
ここ最近,入院患者がぐっと増加し,どの病棟も満床といったところだ。忙しい時になると,入退院患者が10余名にもなることがある。日勤者わずかの病棟では,これらの急変に携わるのに容易なものではない。退院時には,退院者個々の指導を,新たに入院する人に対して,病棟の説明および手術前のオリエンテーションを,そして,これらが時には機械的に処理されてしまいがちになることもあります。
私はこのような忙しい時はとても悲しく,自分がみしめに感じられることが間々あり,そのたびごとに少しでも患者の要求を満たせるほどの余裕のある自分でありたいと願うのです。椅子に腰を落ちつかせるのが昼食のときだけということが,大半を占めている私たちである。この疲労しきっている心身で,どうして患者の要求を満たし得ようか。考えてみれば,病院で占める看護婦の業務は,あまりに多すぎる。しかし,すべてがすべて看護婦がなさねばならぬ仕事であろうか。一年ほど前しきりに業務分担の問題がとりあげられ検討されていたにもかかわらず,結論のでないままに終わっている。解決されぬままに,残されてゆけば看護婦の不足および看護の本質の悪循環を作ることになるのではなかろうか。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.