学会だより 第84回日本病理学会総会
余裕のある雰囲気の中で質・量ともに充実:今春の病理学会
岡安 勲
1
1北里大学医学部病理学教室
pp.840
発行日 1995年7月15日
Published Date 1995/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902545
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第84回日本病理学会総会は名古屋市名古屋国際会議場で4月17~19日に名古屋大学教授浅井淳平会長,松山睦司副会長のもとに開催された.春の総会は日ごろの成果を持ち寄って討論をするのみでなく,1年に1度顔を合わせてお互いの近況を話したり,旧交を温めたりと,多目的に利用され,いろいろな意味で大変有意義に感じる学会でもある.今回も約2,300名の参加者が集まり,広い会場で多数の演題発表と活発な討論が行われた.具体的には宿題報告3,一般演題1,263(演説536,示説727),ワークショップ10が演説8,示説16会場でゆったりとしたスペースの中で行われた.
宿題報告は①"濾胞樹状細胞の形態・機能・病態",②"HLA分子の免疫及び疾患感受性制御",③"活性酸素による組織障害と発癌"であった.①ではリンパ濾胞内の濾胞樹状細胞について広範岡にわたる研究発表がなされ,②ではHLA抗原系と疾患の感受性との関連性を白樺花粉アレルギーや重症筋無力症を例とした詳細な免疫病理学的研究,③では活性酸素による細胞・組織障害・発癌を鉄を例として述べられた.いずれも演者のライフワークとしての研究の集大成であり,学会会員にとってはまとまった研究成果を単に聞くというだけでなく,長期的展望に立った研究の進め方などもおおいに参考になる報告であった.この宿題報告の詳細は今秋発行される日本病理学会会誌84巻2号に掲載される予定である.
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