想園
婦長にも愛のかたみを!!/放射線看護に思う
谷口 ゆきこ
,
清水 琴子
1
1放医研病院部
pp.70-71
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912220
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私が長い婦長生活に終止符をうってから早や一年が過ぎようとしている。その間に少しずつお米やおミソの値段,それに100円でどの程度のおそう菜ができるかなどなんとか家庭的なムードにも馴れて来た。ヌカミソのヌカは煎って漬けるなど物珍しいぐらいのもので失敗ばかり…。近所付合ともどうやらうまを合わせることを覚えた。それやこれやあたふたと過ごす折りふしに,ふと身辺をふり返る時,秋風の訪れはことさらに身にしみる。考えてみると婦長がいかに純真に病院のため人のために一心に勤めているかを思う。愛染かつらの婦長的感覚で認識されがちな中で,青春も人生も捧げてひたむきにつくすその情熱と真剣さを未熟児の変則発育で一方の抑制による反動的発現だといった人がいた。
“なんとでも御考え遊ばせ”とうそぶいてそっくりかえってひたむきに進んだ日々を今考えてみる。……胸の奥でコツンと何やらにぶつかる思いがするのが佗びしい。
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