想園
進学コース卒業して
升本 礼子
1
1益田赤十字病院
pp.68
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912218
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早いもので,あこがれの進学コースを卒業して三か月あまりがたつ。長いようで短かったこの学生生活は,看護の仕事を続けてゆこうとする私の道標となってくれたものとして,おそらく生涯の中でいちばん心に残る二か年であろう。
准看卒業当時は三か年間の実務を経たら必ず進学するという気持であったのだが,家庭の,また自己の経済的問題,弟妹の進学問題等々の事情によって,七か年間もの長き准看時代を故なく過ごしてしまった。この長期間により表面的には古狸のようになって,ただ慢然と習慣に従ってのみ,その日その日を送る態度になるのが恐ろしくなって,あわてて進学コースへとび込んだものです。幸いにも台格通知を受けた時は,それこそ天にも昇る思いでしたが,七か年もの長い社会生活を過ごしていたのでいざ入学したものの,学生生活に慣じむことができず,それこそ泣きたい思いをしたり,事実涙を落としたりしたこともありましたが,これも現実となっては,楽しい思い出の一こまです。
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