Nursing Study
准看護学院生徒の起立性調節障害調査
田中 まさえ
1
,
宝珠山 うめ
2
1国立久留米病院
2国立佐賀療養所付属准看護学院
pp.94-95
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912197
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はじめに
起立性調節障害(O.D.と略称する)は,一種の自律神経系の失調によっておこると考えられ,立ちくらみ,疲れやすい,食欲がないなどの多種多彩な症状をもった疾病であって,成長期におげる自律神経系の不安定性,身体の成長と循環系の成長のアンバランスがその病因といわれる。直接の発症機転は起立時,末梢血管の血管運動神経失調をおこし,その収縮反射が不十分となるため血液が身体下部にたまり,全身の血液分布に変動を来たし,脳の血流量が減少して脳貧血などの症状を招来するとされている。要するに本症は成長期における自律神経系の不安定状態の一種であって,病的と正常の中間のはっきりした境界のないぼんやりした部分であると考えられる。そのため診断の基準も定め難く,患者の訴えが有力な決め手となる疾患である。
昭和33年,東大小児科の大国氏が本症についてはじめて報告してから,本邦小児科領域において,にわかにその関心がたかまり,O.D.研究班が結成され,これの数多い業績にもとついて第1表に示すような診断の基準が定められた。これはO.D.患者に比較的多くみられる症状を大症状および小症状とにわけ,第1表にあるような組み合わせによって診断を下すのである。この場合客観的検査として起立試験も必要となる。
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