ポイント
ゆきすぎ
二木 シヅヱ
pp.61
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912183
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お風呂ぎらいな甥と姪をもつおばさんである私は,家庭の雑務とP.T.A.の役員をひきうけてはしりまわっている妹にかわって,1日1時間健康な子どもたちのお風呂係をすることになった。3年生の姪はピアニスト,6年生の甥は科学者と,大きい夢をもって勉強している。子どもたちのお風呂ぎらいの理由は,入浴に要する時間とその後の心地よき居眠りが,勉強と遊びの邪魔になるという。進学児童のなんとすさまじい日常生活なのだろう。痛々しい世の中だ。
ある日,甥とお風呂にはいりながら,いろいろな子どもの考え方を教わっていた時,《早く大人になりたい》という感想をもらしたことがあった。その理由として《大人はわがまま勝手だ》という例をたくさんあげていた。よくよく聞いてみると,問題の半分はたしかにわがまま勝手ではあるが,あとの半分は説明不足よりくる相互の理解力の不足から来ていることに気がついた。
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