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集団の中の個人・2
早坂 泰次郎
1
1立教大学
pp.40-46
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912179
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■孤独に耐えること
どうしてそれが希望なのかということは,きょうお話しの中心になるわけです。さっき申し上げたように,人間と人間の関係というものは本来その中には分離,あるいは断絶がある。人間はけっして他の人には成りえない。自分の一生というものは1回きりだ。パスカルなんかも言ってるように「私の一生の前も後も,はるかな無限の中に消え去ってる」わけですね。無限の中の,ほんの偶然的な瞬間的な数十年じゃないか。そのことから人間の分離,断絶ということが出てくるわけです。したがって,そのままの形では分離とか断絶とかいうものを越えることができない。
それじゃ,どうしたらいいんだということになりますが,理屈を申し上げるよりは,ここでもいくつかの実例で申し上げたほうがわかっていただきやすいと思いますので,申し上げてみたいと思います。私について,さっきのご紹介に,あちこちで看護婦さんがたの教育などに関係しているというお話しがありました。確かにそれはそうなんですが同時に私は個人としてもたいへん看護婦さんのごやっかいになっております。今まで過去2回にわたって長期入院の経験があります。学校も4年ぐらいそれで遅れているわけですが,最初のときにはちょうど20のときでした。これは戦争ちゅうです。
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