想園
病棟婦さんの白衣要求をめぐって/新しい出発点に立って/ナースと人間性/「ゆがんだ看護婦の生活」を読んで
大原 京子
,
加部 八重子
,
竹内 綾子
,
遠藤 友良
pp.68-71
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912125
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最近私たちの病院で病棟婦さんが白衣を着せてほしいという要求をした。予防衣をかけるだけでは背中から私服が見える,病院という伝染の危険もあるところでは,全身を包む白衣の方が望ましいという趣旨である。病棟婦さんが白衣といった意味は,白い作業衣をさすので,看護衣のことではなかったが,病棟婦さんにも白を着られるとまぎらわしい,帽子はつけていなくても一般の人からは看護婦とみられやすいし,きちんとした服装をしない人が出ると看護婦一般の評判も悪くなる,という意見が多かった。白衣は誰でも着られるものではない。作業衣以上のものであり,3年の教育を経ねば着てはならない,白衣にプライドをという声を多く聞いたが,白衣にプライドを持つというから念仏を唱えることより仕事の実質的向上を目ざしたいし,そこにプライドと生きがいを感じたいと強く思う。
現在,私の置かれているところは外来だけれども看護婦8人に病棟婦は1人もいず,朝は掃除にはじまり,午後からの手術では新ちゃん看護婦である私は一日中洗たく機につきっきり,床掃除ゴミ捨て,膿盆みがきに明け暮れていると帽子も邪魔に感じられる時がある。高校卒後3年の専門教育を受けたのならもう少し頭を働かせられること,興味を覚える仕事ができないだろうか。雑用を必要以上に追いかけすぎてはいないだろうか。そのために看護の使命を忘れていくのではないか。外観の白衣問題より仕事の整理向上が先決であると思う。
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