Nursing Study
外科病棟一患者の看護研究
菅 和歌
1
1高知女子大学衛生看護学科
pp.77-81
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911785
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1.はじめに
人間が食生活をはじめると同時に,胃腸疾患があったと推定される。医学の進歩とともにその治療がなされるとはいえ,急速な文明の発達が神経的に内臓に与える影響も手伝って,依然増加の現象をたどっている。その治療部門のひとつとして,外科的に開腹し胃切除,胃腸吻合などが行なわれているが,ちょうど外科病棟臨床実習において過去にBillroth Ⅰの手術をし,また腸間膜動脈性十二指腸閉塞症のためBillroth Ⅱの手術を行なった患者にぶつかった。そこでこの患者を中心に,術前,術後を通してどんな問題点があり,どのような看護をなすべきか,それらに対する反省などをまとめてみる。
2.患者とその環境についての考察
1)社会学的考察
患者は29歳の男子。家庭は健在の両親と5人兄弟の長男で,一昨年結婚して子どもと3人で独立して生活している。職場は営林署勤務,高知県林野界の中心地で営林河川の分野における仕事を行ない,seasonによって事務をしたり山で樹木の性状,伐採するかいなかの選択,調査を行なう種類の内容で,肉体的に重労働であるとともに神経の繊細さ,緻密性を要求される仕事を行なっている。患者の療養生活における環境は,個室を要求したがなく,男子のみの4人部屋にて療養,Bedが北隅のため直接日光ははいらず臥床にては外界(空,町)は見えない。
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