特集 老人医療と病院
老人病棟の看護と患者の取り扱い
深谷 ナカノ
1
1太田綜合病院付属熱海総合病院
pp.28-33
発行日 1972年4月1日
Published Date 1972/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204623
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●はじめに
若い人の疾病は人生の一経験であり,老人では疾病そのものが人生だといわれている.ここ数年来,一般社会でも,成人(老人)病に対する問題が関心事になってきている.反面,社会生活の合理化に伴い,核家族とか,断絶とかの現状の中で,老人が疾病をもって入院し,人生の一部を病院という特殊環境の中で生活する場合,私たちは,いかにしてこのような患者を理解し,その問題と取り組み,適切な看護をなすべきか,十分な検討が必要である.
当施設では,過去数年来,老人のリハビリテーション(以下リハと略)患者を多数収容しているが,種々雑多な問題をもっている老人看護は,非常に複雑で,高度な科学性に基づいた看護の実践が要求されている.老人患者は,当然個別的な問題を抱えているが,老人患者一般についても,社会(家族)的問題,老人特有の心理の問題,更に,合併症の問題などが山積している.したがって老人看護は,老人患者特有のニードに見合った適正な看護を与える必要がある.それには,専門技術的要素と,家庭看護の延長的な補助的要素を持つものがあるが,そこで,役割を果たすチームの編成は,助手要員を多数必要とする点が特徴的となる.つまり,老人患者が増加している臨床看護の現在における看護力の適正配置の手段とも関連する.
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