Nursing Study
精神病棟の管理—病棟社会化と完全開放の経験
吉川 洋
1
,
山川 亨
1
1東春病院
pp.75-80
発行日 1962年10月15日
Published Date 1962/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911761
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精神病棟は,いうまでもなく,患者にとっては文字どおり病床群であると同時に,生活の場でもある。生活の場であるがゆえに,今日まで精神病院の歴史はさまざまの画期的な革命を経てきた。開放病棟に関する諸問題も,まさにそのひとつである。開放病棟といわれるものにはさまざまの形式があると思われる。たとえば,多くの病棟のなかで,二,三の病棟を開放にするのもそのひとつであろう。そのような病院では,そのほかに不穏保護病棟や観察治療病棟などとよばれる病棟が,それぞれの役目を持って区別されていて,それなりに管理されている。開放病棟へは当然開放されてしかるべき患者が収容されているであろうし,もし仮りに不穏な症状がそのなかの1人の患者にかなり長期にわたって認められれば,その患者は直ちに不穏保護病棟へ移されるであろう。病棟を数多く有している病院では,そのような管理も可能であり,あるいは理想的ではあろうが,しかし多少消極的な考え方ではなかろうか。さらに病棟数の少ない,せいぜい男子病棟,女子病棟といった二つの病棟しか持っていない病院では,施設の問題ばかりでなく,人員構成の面でも,あるいは職員の考え方のうえでも,種種の矛盾と困難とが生じてくる。われわれの東春病院も,そういった意味で,恵まれない病院のひとつである。
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