連載 限りある命をおしんで(最終回)
よろこび
工藤 良子
pp.50-52
発行日 1962年7月15日
Published Date 1962/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911686
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5年目を祝つて
久しぶりに母のところに帰った夏の午後,私はぶらぶら散歩しながら,暑さしのぎに喫茶店にはいった。どこも混雑していて注文してからしばらく待たされたので読むともなく新聞をひろげていると,私がはいってきた時から老人夫婦が視線を私にむけているのを感じた。こんな所で知っている人もいるわけではないので再びまんがを読みはじめた。
冷水が運ばれてきたのでコップをとると婦人がつかつかと私の前にきて「あなた様は工藤様ではございませんか」ときかれたので私はすっかりおどろいて腰をあげて返事をした。
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