特集 看護業務の向上をさぐる—その検討の中から
Ⅳ.何を新たに学ばねばならないか
私はこうして学んでいる
小児科
寺田 道子
1
1武蔵野赤十字病院小児科
pp.111-112
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911662
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小児看護は疾病の看護ばかりでなく,保育がともなわなければならない点,他の看護とその趣きを異にしており,患児の身体的発育と精神的発達のバランスをいかにとるかが重要な問題である。疾病が,乳児期,幼児期,学童期,思春期それぞれの心身の発達にいかなる影響を与えるかは,小児看護の大きな課題であろう。以下小児看護において問題となる点を2,3あげてみよう。
まずその第一は,入院によるところの精神的不安定である。これは患児とくに長期入院患者の思いがけないいたずらや,同室者との不和等となってあらわれるので,いたずらに表面に現れた現象だけをみて注意をしたり,批判的言動をとることなく,このような患児に対しては,つねづね明朗,公平な態度で誠意をもって接し,決して感情にはしらず,その根本要因である精神的不安定さを取除くことに意を注ぎ,相互に信頼しあえる良い人間関係を築くことが大切である。このような患児の精神的な動揺は家族の態度にも大きな原因があるので,患児の家庭環境については常々関心をもち,理解することが看護する上に必要である。そのため,患児をもつ家族の心情を充分わきまえ,家族の,疾病に対する正しい認識のもとに看護上の諸問題にも協力が得られるよう,努めなければならない。
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