年間テーマ--診断から治療へ 体温の異常
境界領域からみた婦人の発熱--熱型診断とその対策
小児科から
国分 義行
1
Yoshiyuki Kokubun
1
1東京慈恵会医科大学小児科学教室
pp.297-300
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205169
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小児は年少で幼弱なものほど体温の調節機構が未発達であり,熱産生と熱放散のバランスがくずれやすく体温も動揺しやすい。これは視床下部の体温中枢の機能が未発達のこと,成人に比較して体表面積が比較的大きいこと,筋肉層や脂肪層が薄弱なこと,および未熟児などではことに汗腺の発達が不十分であることなどが関係している。熱放散には皮膚面よりの伝導および輻射と不感蒸泄が大事な役割を演じているが,大体呼吸から1/3,皮膚表面から2/3が蒸泄するといわれ,汗1gについて0.58カロリーの蒸発熱を放散するといわれる。乳児では直腸温が体温の標準として測られるが,腋窩温はこれより0.3〜0.6℃,舌下温は0.2〜0.3℃低値を示す。生後2年までは一般に1日内の体温の動揺は少ない。これは母乳栄養児に限らず,人工栄養児の場合でも健康乳児であればこの傾向がよくみられる。
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