救急処置講座・6
鼻出血の救急処置
川久保 淳
1
1厚生中央病院耳鼻咽喉科
pp.55-60
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911632
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はしがき
鼻から出血が見られる場合,鼻腔内面からの出血のみでなく,鼻咽腔や頭蓋底骨折などからの出血が鼻腔を介して出現したり,あるいは喀血吐血の場合鼻から血液が流出することも考えられるのであるが,私が今ここでのべる鼻出血とは固有鼻腔ないし副鼻腔内から原発した狭義の衂血(じっけつ)についてである。
これら鼻出血は日常の臨床において比較的多く経験されるにもかかわらず,狭くて暗い鼻腔の構造上,なかなか出血部位を確認することが難しく,しかも鼻領域がはなはだ敏感な感覚器であるためにわずかの刺激でも容易にショック状態,嚔,咳嗽などの不都合な事態を惹き起こし,その止血はたいへん困難なものとされている。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.