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小児病棟看護婦室のありかたについて—一小児科医として日ごろ考えること
村瀬 溥太郎
1
1東京逓信病院小児科
pp.52-54
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911631
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(一)
すべて設備器具はどれをとつてもそれぞれの使用目的と密接に結びついているものであつて,能率効用はその目的に適合しているかどうかにかかっている。小児病棟看護婦室のありかたを考えるにあたってわたくしがまず看護婦,特に小児病棟受持看護婦の任務の検討から論議をはじめても,まんざらまとはずれの非難はうけないであろう。
さて,看護婦の従事している仕事をみると,これはあきらかに他の業務から区別されるべき内容を有している。即ち患者を看護する方法において多様であり,その効果において長期にわたる特色をもっているのである。病室でみられるものは,教科書にあるような抽象的な肺炎一般,腎炎一般,消化不良症一般等々ではないのであって,そこに存在するものは,成長の過程環境の相違からそれぞれに特有な個性を,その小さな体内に潜めている小児にあらわれた肺炎であり,腎炎であり,消化不良症なのである。発病経過予後がひとりひとりことなっている。一人の患児に適当な看護が,他のものにとって必ずしも適当でない場合があるのはもちろんであって,看護婦はみずからの判断により,いつも何を採り,何をすてるかを決定してゆかねばならないのである。
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