講座
患者の心理と看護(2)—どう把握し,どう活かすか
島崎 敏樹
1
,
松下 ひそか
1
1東京医科歯科大学神経精神医学教室
pp.61-63
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911634
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Ⅱ.看護のあり方
前号でのべたように,患者は—殊に重い病の患者はいろいろな心理状態にある。人により場合により異つた心理状態ではあっても,根底には一貫して,生命に対する不安がある。その不安をのぞくこと少なくすることも,看護にあたるものの役目である。身体的に治療を加えて病の回復をはかることが不安をのぞくに必要なことはいうまでもないが,さらに精神的にも不安をのぞくための努力が要る。
最近,身体的検査の手数が多くなり,また重んじられ,その結果病は数量的にあつかわれ,病人と病気が分離しがちで,医者や看護者は病気のみにとらわれがちになる。したがって治療も病気そのものに対してのみ行なわれ,「病める人間」が忘れられやすい。これでは十分な治療といえない。ややもすると前向きの姿勢をうしないがちな患者に,「自分はなおれるのだ」という確信を誠意をとおしてあたえることである。
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