患者指導のために・3
糖尿病の患者指導
原 萃子
1
,
藤枝 寿恵
1
1都立広尾病院内科
pp.71-73
発行日 1962年3月15日
Published Date 1962/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911592
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糖尿病は文明国の成人病といわれています。わが国でも経済の高度成長に伴って,糖尿病患者は増える一方です。現在では100万人を突破すると推定されていますが,痛い,痒いなどの自覚症がない上,一度発病すればなおらないという厄介な病気です。つい根負けして治療を中断し,みすみす寿命を縮めてしまうことになりがちです。
戦争中の食糧事情が悪かったときは,日本ではほとんど糖尿病患者はみられなかったのですが,最近生活水準が向上するにつれて急激に増加してきました。糖尿病患者のうち病気を自覚している者はその1/5にすぎず,残りの4/5は自覚症状がなかったり,あってもごく軽いために気づかないでいるのです。糖尿病の死亡順位は低く,それほど恐ろしくないと思われているようですが,糖尿病という診断がつけられていないことと,直接死亡原因である糖尿病昏睡が少ないことが原因で,合併症である動脈硬化症,高血圧症などによって倒れることが多く,それ故に糖尿病の療養は必要であります。
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