ナースの意見
病院ストに思う—学生の立場から
T・K
pp.74-75
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911298
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病院ストが次々に広がつているさまを新聞週刊誌で見,「いよいよやつてきたなあ」と思うのが私の偽わらない心情である。個々の争議内容を見ると,賃上げ,期末手当増額,労働条件改善等,多岐にわたるが根本には病院経営の非合理性,人間関係の非近代性にあり,マスコミは「人権闘争」と多少好意的にさえ報道している。それほど病院の労使関係は,古い形のまま立ち遅れている。看護婦を始め,病院従業員も被雇用者である以上,労働組合を作るのは自由であり,ストライキを一方に絶対にいけないとも云えない。組合を作ることは,賃金や勤務体制など労使間の公然たる団体交渉によつてとり決め,近代的な労使関係を作る上に望ましいことだと思うのにもかかわらず,看護婦が組合員であることは,管理者の望まない所もあつてか案外に少ない。
かつて「女工哀史」とまで云われた繊維労働者は,現在その近代的な労使関係はそこに働く女工さん達の顔を見ればわかると思う。少なくとも労働の義務を充分にはたし,その権利も充分に行使している。どんなに小さなことでも職場委員に意見を求め,苦情処理委員がそれを組合で検討・解決の方向に持つていく。又賃上げ闘争があり,中労委に斡旋を求めるに至る大きな闘争に際しても,これだけはどうしても必要だと,中労委に手紙を書ける程に意識は高い。
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