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厳粛さと希望と—大阪の2つの戴帽式から
石原 隆良
pp.50
発行日 1960年12月15日
Published Date 1960/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911219
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10月は戴帽式のシーズンです。そのトップを切つて1日に,大阪では国立病院と日赤の2校で戴帽式が行われました。この2つの戴帽式に招かれて意義深い式に参列し感銘を深めましたが,2つの学院それぞれに特色があり印象的でした。
国立大阪病院附属高等看護学院の式は午前10時に始まり教務主任雪永先生の司会で進められました。国歌斉唱が終ると式場の灯は全部消され,ナイチンゲールの肖像を掲げた壇上の親ローソクに点火されます。1年生は1人ずつ氏名を呼ばれると壇上に上り玉田総婦長から純白の帽子を与えられ,次で雪永先生から1つ1つキヤンドルサービスを受け学院長の前で宣誓書にサインをすませて左右に整列します。宣誓書のサインは各々自分の灯をかざして行われますが,1つ又1つ灯が増え。次第に明るさを増して行く間静かにオルガンの音が流れます。国立大阪病院の式は全国的にも有名ですが,この電灯を全部消した中に1つずつ灯が移されて行く雰囲気は厳粛そのものです。入学以来半年の努力の甲斐あつて身心共にナースとしての道を許されたよろこびと,これからの使命に対する責任感を身一杯に感じ,その感激の故か何人かの人の頬には涙が伝い,あちこちとすすり泣く声も聞かれました。全員の戴帽,点火が終るとナイチンゲール誓詞,ナイチンゲール讃歌に続いて讃美歌を合唱しながら1人ずつ壇を下り,聖灯を贈呈して各自の席に帰ります。聖灯は式の終るまで燃え続けています。
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