Nursing Study
「重症病棟における集団指導と看護」を読んで
菅原 八重
1
1東京都立梅ケ丘病院
pp.59
発行日 1960年2月15日
Published Date 1960/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911041
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精神病院における看護は一般病院におけるそれと著しく異るものがあります。決められた仕事をただ確実に行うというだけでは済まされません。私達看護者の些細な言葉のはしにさえも患者さんは鋭く反応するからです。今迄は身体的治療と生活指導などは切りはなされて考えられていたうらみがあります。しかし最近は精神病院の治療的雰囲気をどのように形成したらよいかについていろいろ論議されるようになつて来ました。患者さんは入院したその日から活発な治療的雰囲気に入れられ,その中で治療看護を受け,治癒して社会複帰する場合にも,病院との間に連絡を保ちながら社会生活を続けてゆくことが望ましいことでしよう。国府台病院の論文をよんで「重症病棟」という病棟の性格がよく掴めませんでしたが,新鮮な身体的治療を必要とする患者さんを主として収容している病棟と解してよいと思います。今迄松沢病院,武蔵療養所などの,慢性病棟についての生活指導,レクリエーション療法,作業療法などの詳しい発表がありましたが,この論文によつて組織的な生活指導や作業による指導が新しい患者さんにも身体的治療とともに必要であることが理解され,その点深い感銘を受けました。またこのようなこころみでは看護者医師との連携また患者さんとの話し合いが大切ですが,それがスムースに行われていることに感心いたしました。この種の看護指導は一時的なものではなく如何にして効果を持続させるかが問題です。
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