臨床検査とその介助・3
耳鼻咽喉科の諸検査法(2)
大沢 林之助
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.66-70
発行日 1959年9月15日
Published Date 1959/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910932
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(b)前庭器(平衡機能)検査法
耳の機能には聴覚のほかに平衡感覚がある。内耳の三半規管と前庭器とがこれを司る。これを平衡器と呼ぶ。正常な平衡器は眼,頸,その他全身の筋肉に対して反射的に規則正しい緊張(トーヌス)を与えてその平衡を保ち,全身の姿勢を維持している。この平衡器に異常が起ると,均衡が破れてくる。この平衡器の状態をしらべるのが平衡機能検査である。これを調べるには(1)眼筋に現われる反射運動即ち眼震(ニスタグムス)と,(2)骨格筋に現われる反射運動殊に手足の運動障害とを観察する。この検査には悪心,嘔吐,眩暈(めまい)を伴つてくるので,これも観察の一つである。平衡器能の検査はその一部のみでは殆んど意味がなく,全体を統合して意味を生ずることが多い。
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