新看護学
膵臓疾患の看護
永井 敏枝
1
1中央鉄道病院看護婦養成所
pp.58-59
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910777
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私達が臨床に於て膵臓疾患の患者に接する時,はじめから病名が確定している場合よりも膵臓疾患ということまでわかつて,膵臓のどこがどのようになつているのか即ち,膵臓壊死,膵臓浮腫,出血性膵臓炎又は膵臓膿瘍(癌を含む)であるかの確定は入院し経過をみてから診断され,或いは他の疾患の疑いで経過中に膵臓疾恵の診断を下されることの多いのを経験いたします。これは阿部先生もいわれていますように膵臓疾患の診断がむずかしいことを意味していると思われます。即ち1)位置の上から触診がむずかしいと同時に胃の膨満や鼓腸を伴うことから一層触診をむずかしくしている。2)特有な自覚症状が少ない,3)機能検査法も膵臓疾患があつても必ずしも個有のものでなく又成績も必ず陽性とは限らない等の原因があるわけです。従つて看護の第一として診断がより正確により早く行われるように看護婦が助力することであります。これには病態生理を理解し,症状の観察が正しく細まかく行われ,正確に医師に報告されなければなりません。起り得る症状は病態生理でのべられているから要約して観察の要点をあげてみます。
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