メディチーナジャーナル 消化器
膵臓疾患
松尾 裕
1
1東大中尾内科
pp.1098
発行日 1964年10月10日
Published Date 1964/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200530
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膵臓疾患の診断はわれわれ内科臨床医にとつてもつとも困難なもののひとつである。消化器疾患におけるもつとも重要な診断武器であるX線による諸検査も,また機能検査を主体とする臨床生化学的諸検査も現在の段階では,ごく一部の膵臓疾患を診断しうるにすぎない。しかしわれわれが日常遭遇する腹部の不定の疼痛,鼓腸あるいは下痢症状などには膵臓が一次的疾患ないしは二次的疾患として関与していることが非常に多いと思われる。また膵臓機能としていままで知られているような消化機能,糖同化機能以外にも,未知で重要な生理機能をもつている可能性があり,ほかの諸臓器疾患の病態生理に膵臓機能異常の関与する可能性もある。したがつて膵臓に関する問題は臨床診断上,あるいは病態生理学上今後発展しなければならない多くの諸問題が残されている。
今回は,過去3年間Gastroenterologyに掲載されている膵臓に関するものから,とくに臨床に関係のあるものをとりあげてみることにする。
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