教養講座 美術の窓・7
十八世紀のフランス
中野 久夫
pp.49-51
発行日 1958年12月15日
Published Date 1958/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910754
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18世紀のフランス美術は繊細優雅な特色のゆえに人造石を意味するロココの名で呼ばれる。17世紀のバロツク,18世紀のロココは,ともに非難を含む綽名であつたが,これには美術史上の理由があつた。
前世紀まで,美の典型は遠くギリシヤ,ローマの作品に求められていたのであり,端正という同時代の美の観念が,この狭隘な規準が,ルネツサンスの芸術のみを正統と認め他を亜流と見做したのである。
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