講座
脳波はどんなものか?
塚原 進
1
1関東逓信病院臨床検査室
pp.24-26
発行日 1958年7月15日
Published Date 1958/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910639
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からだに起つている現象で,電気的にしらべることの出来るものはたくさんあつて,エレクトロ何とかグラフ,又はグラム時にはエレクトロ何とかスコープと呼んでいます。ゲラフやスコープが後りにつくのは,器械の名前で,グラムのつくのは記録したのをいいます。心電図(EKG,ECG)筋電図(EMG)脳波(EEG)網膜電図(ERG)等々でたくさんあります。普通に″エレクトロをとる″ということがありますが,これは心電図のことを意味することが多いようです。これは心電図が歴史的に古いことと,普及率の関係と思われますが何のエレクトロかをはつきりいわないと困るような時代になつて来たようです。各種のエレクトロのそろつている病院がふえて来たからです。脳波についてみますと,国内だけで標準の脳波の装置の数が約200台ありますから,相当に普及しているといえるでしよう。脳波をとることは電図程多くはありませんし,診断のために絶対に必要なものともいえませんので,どこでも見かけ,る程普及はしないでしよう。装置の値段が高いということもその原因でしよう。しかし脳の中に起つている状態を直接に客観的に見るには,手術して脳蓋をひらいて直接見る以外には脳波をとるしか方法がありません。又経過をしらべたり,麻すいもかけない正常状の状態で観察出来るという強みもあり,少なくとも神経系の病気をとりあつかう所では必要なものです。又最近の交通災害で特に頭部の外傷が多いのですが,頭蓋の内出血とかその他の損傷の部位の診断のためには是非必要な器械です。従つて一応どんな器械で脳波をとるのか脳波とはどんなものかを紹介してみましよう。
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