グラフ
脳波をとるために必要な知識
塚原 進
1
1関東逓信病院臨床検査科
pp.543-549
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905619
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脳波をとる人は脳波をとる前に心電図をとつてみて心電計になれておくとよい。心電計に関する知識があると脳波計の場合に大へん役立つからである。例えば接地とかスイツチとか較正とか,共通のいろいろな概念を簡単に理解できるようになるからである。電極とその装着法や電極間の抵抗に関する知識はこの種の検査には最も必要で特によく知つておく必要がある。
心電計と脳波装置は同じ増幅器と記録装置からできているが,脳波装置はふつうの場合であると心電計を8組以上集めたものであり,しかも脳波計の方が感度をよけいに必要とするために増幅段数が多く,真空管がそのために数本多くなつている。記録方式も全く異なり,心電計は写真式か,熱ペン式であるのに脳波計はインク書ぎが大部分でペンの長さもちがう。記録装置のちがいは,心電図と脳波では電気的な条件がちがうからである。しかし脳波計の1つの素子と心電計をくらべてみると,電極をつなぐ所(A)感度を調節するつまみ(B)電極の組合せをかえるつまみ(C)ペンの位置を調節するつまみ(これのない脳波計もある)電源スイツチ(F)は何れも共通にある。心電計にないものとしては全体の感度を変えるつまみ(G)電極間の抵抗を測る部分(H)フイルターのスイツチ(I)時定数をかえるスイツチ(J)などがある。これらのものが8ないし12組集ると大へん大きなものになり,操作も難しいのではないかと思うかもしれないが実際に多く使用するのはAよりFまでで心電計と変らないことになる。本質的に脳波特有のものはない。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.