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平和の原子力との10年間—下—1946年9月(昭和21年)から1956年9月(昭和31年)まで
エリザベス・アンダーソン
,
藤田 順一
pp.57-62
発行日 1957年12月15日
Published Date 1957/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910504
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ラジオアイソトープ(放射性同位元素)は医学上いろいろな方法で用いられています。少量は追跡子として,個々の検出器で,身体の中で何が行われているかを学ぶことができます。アイソトープは多くの疾患の診断の助けとなります。しかし治療に用いるのが特に興味があります。早期には(1946年昭和21年頃の意味ですが)多くの人達はアイソトープは疾患の多くを,特に癌を治すことができると高い希望を持ちました。今はそうでないことを知つています。多分幾らかは治すでしよう。しかし思つた程多くはありません。一方ある疾患の進行を弱めるように用いることはできます。時々それは進行がすつかり止つてしまつて,治癒ということがありますが,何時も〃治癒〃にカッコをつけます,何故なら又始まるかもしれないからです。多くの疾患でことに或る種類の癌ではアイソトープは患者をもつと楽にするために使われます。世界中のお医者さんは,不治の疾患をもつた患者さんはもつと楽にしてあげられる方法を研究しています。
ガリウムー72の物語は考想がうまく行かなかつたお話しです。1948年に海軍医学研究所のダドレー中佐はガリウムが骨に集中する傾向があることを観察しました。ガリウムはそれまで誰も価値のない元素と思つておりました。そこで医学部門の大部分の研究者達はガリウムの研究を始めました。
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