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実態調査からみたわが国の結核の動態—昭和28年及び昭和29年調査による年間推移
山口 正義
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1厚生省公衆衛生局
pp.47-59
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201570
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I.調査の目的
厚生省は,昭和28年に世界で初めての試みである全国的な結核実態調査をおこない,その結果結核とくに要医療の数はこれまで予想されていたよりはるかに多く,実に292万人の多きにのぼり,このうち21万人が外科的療法を,219万人が化学療法を,137万人が入院を必要とし,80万人が結核菌を排泄し,204万人が空洞またはその疑のある者であり,しかも要医療のおよそ80%は結核であることを自覚していないことなどが明らかになつた。
また,結核予防対策の面では乳幼児と壮年以上の高年令層の予防措置が不徹底であることがわかり,さらにこれまでその体系化に兎角明確さを欠いていた結核医療対策の面では,初めて全国的な結核の病型,病勢,適応医療及び入院の要否等が明らかになり,結核対策を強化するうえに極めて重要な根拠がえられたのである。
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