2頁の知識
疲労とビタミン
長畑 一正
pp.209-211
発行日 1957年10月15日
Published Date 1957/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910466
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体がだるいとか疲れ易いとかいうとそれきたとビタミンB1の注射が行われています。もう常識化されてしまつて普通の人が自分でやつているのが案外多いらしい。最近は特殊なビタミンB1剤(アリナミン)や総合ビタミン剤が錠剤として売り出され,飲み易いので注射というめんどうがなく,それにとつて代ろうとしています。一体ほんとうに疲労にビタミン,殊にB1が効くのでしようか。もつと突込んでいうと,疲労の本態はビタミン欠乏なのか,少くともそれと何か関係があるのか。
疲労の科学は他の筆者が書くそうですから,詳細はそれに譲つて,疲労の常識を先ずみてみましよう。私がザドベツクとマラソン競争をすれば,私はすぐへばつてしまう。総合ビタミン剤を十分内服していても逆もかなわない。では私個人としてみれば疲労のき方が軽くなるかどうかこのような急性(筋性)疲労に対するビタミンB1の効果については実験が沢山あります。重労働のときB1需要量が増してB1欠乏に陥り易く,B1欠乏のときは疲労が起り易いことが証明されています。スポーツの場合にはB1が疲労の回復を速めるとか,スポーツの能率を高めるという成績もあります。またビタミンB2にも同様な効果の報告をみます。しかし,スポーツはもともと楽しみ,意志の鍛練などの目的でやるので,快よい疲れといつてもよく,一晩寝れば疲れがとれ爽快さだけが残ります。
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