時の動き
スエズ問題/日ソ交渉後の政局
奥山 益朗
pp.58-59
発行日 1956年12月15日
Published Date 1956/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910254
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さる7月26日エジプトのナセル大統領がスエズ運河の国有化を宣言してから,もう3カ月になりますが,問題は一こうに解決していません。ちよつと復習のようですが,それまでのいきさつに触れると,エジプトはナイル河上流のアスワン・ダムの付近に更にもう一つ新アスワンダム建設を計画していました。この新ダムは高さ110メートルの大ダムでこれができればエジプトの耕地面積は3割もふえるという大きなものです。これを作るには13億ドルを要するのですが,かねてアメリカ,イギリスが申し出ていた借款を取り消したのです。これに対する報復として,ナセル大統領は7月26日,エジプト革命4周年記念日に歴史的なスエズ運河の国有を宣言したのであつた。
さて,その結果8月16日からロンドンで国際会議が開かれ,アメリカ案である国際管理案が通過した。この案を支持する18カ国の代表である5カ国委員会は8月23日からカイロでナセル大統領と会談しましたが結論を得ませんでした。その後9月19日からロンドンで18カ国案支持国だけの会議を開き,こゝでスエズ運河航行をエジプトの世話にならずにやろうというスエズ運河利用国団体の設立をきめたのです。
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