時の動き
岸首相のアメリカ訪問/その後のスエズ問題
奥山 益朗
1
1朝日新聞
pp.68-69
発行日 1957年6月15日
Published Date 1957/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910379
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岸首相は6月15日ごろ東京を出発,アメリカに渡り,19,20,21の3日間,アイゼンハウアー大統領,ダレス国務長官らと会談することになつています。岸首相の渡米は,組閣以来の念願であつたことですし,またこの際とかくシツクリ行かない日米関係を根本的に話し合うことは,必要なことと思います。
いま,シツクリ行かないと言いましたが,鳩山内閣は日ソ交渉一本ヤリで進み,つづく短命な石橋内閣も,中共貿易に積極的で,アメリカにとつては,好もしくない内閣でした。ですから,岸内閣が一体アメリカに背を向けているのか,顔を向けているのかは,アメリカの最も知りたいところです。岸首相はこの疑問に答え,とにかく対米基調の外交であることを強調するでしよう。いまの日本にとつては,好むと好まざるとに拘らず,西ヨーロツパ側に属し,ことにアメリカとの協調を度外視することは出来ないのです。
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