現代のカルテ
米ソ平和共存と中ソ対立,他
pp.45
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202493
- 有料閲覧
- 文献概要
人工衛星打上競争でアメリカをしのいだソ連が,10月のキューバ問題では,あっさり基地を撤去し,またも国際的に有利な地歩を手に入れてケリとなった.
しかし,この外交戦ではフルシチョフにかならずしも得点があったわけではなく,むしろ,ケネディの方が従来の弱腰という国民の非難の声を封ずるチャンスが掴めたという見方もある.一方,相手に2倍のミサイルと原水爆があることを知って,年頭所感に平和共存を強調したフルシチョフは,その冒険主義から平和主義への御都合主義を,中共から厳しく批判されることとなったのである.その喰い違いは,社会主義国家が強大になれば戦わずして資本陣営は凋落する,とするフルシチョフ路線と,武力には武力でこたえようとする毛沢東路線との相違で,これは共産主義をめぐる理論的対立であるが,昨今は理論よりも,実際面の政策に問題が生じている.すなわち,われわれの関心をあつめたのは,ソ連がバターや肉類の値上げをしたり,やむを得ざる資本主義的な利潤制度の導入などを行なって見せたことである.
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.