2頁の知識
脳波
藤森 聞一
1
1東京第二病院研究検査科
pp.42-44
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910018
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1929年ドイツの精神科医ベルガーBergerが人間の頭からも電気が出ることを発表し,脳波Electroencephalogram,EEGと名付けましたが,本国のドイツでは問題にされず,数年後になつてはじめて,英国が世界に誇る生理学者エドリアンAdrianによつて彼の功績が認められるに至つたといわれます。
古来神秘のヴエールに包まれてきた脳の働きが,脳波によつてわかるのではなかろうかとその後多くの人々によつてその研究が進められましたが,そういう場合に当面した最大の困難は何といつても装置に関するものでした,というのは脳波は心臓電気の幾10分の1という微細な電気現象なので,これを記録するには100万倍の増幅度をもつ高度の精密装置を必要とするからです。しかし最近我が国にも,同時に頭部の8カ所からの(8チャネル)脳波がその場で紙に記録できる,米,英製品に比して遜色のない優秀装置が製作されるようになりました。これはさすが我が国電気工学技術陣の底力を示すものとして,私共は心中の欣びを禁ずることができません。
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