医学のあゆみ・31
覚醒アミン
杉 靖三郞
pp.63
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910023
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これは“ヒロポン”という商品名で一般に知られているもので,すでに1935年頃からつくられて市場にあらわれていたが,問題になつたのは,戦後からで,それが大脳皮質を刺激する作用があり,気分夾快となり,幸福感がおこり,多弁となり,疲労感がなく,作業欲が亢進するので,常用習慣者が出はじめてからである。
戦時中にも,気分夾快,自信増加,疲労減退,催眠抑制の作用が利用され,戦力増強や特攻隊の攻撃などにも一役買つたが,戦後,快楽を追うための目的や,自覚的能率増進(たとえば文士の量産的執筆や一夜づけの試験勉強など)に対して,愛用されてきたのである。また,酒に弱いのが,つよくなるのにも効果があるというので,町の与太者らにももちいられだした。
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