時の動き
もう戦爭はないよ
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pp.60-61
発行日 1955年9月15日
Published Date 1955/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909917
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先月の24日,すがすがしい夏の朝,ロンドンの飛行場には,新聞記者達を交えて大ぜいのイギリス政府の要人らが待つうちを,銀色にかがやく旅客機が滑るように,飛行場のターミナル・ビルの前まで来て,ぴたりと止まりました。やがて扉が開き,1人の紳士が足早やに降りて来ました。紳士は出迎の人々と,何度も何度も握手を交わしたのち,待ちかまえていたカメラマンたちのフラッシュをあびながら笑顏でいいました。—諸君,戦争はもうないよ—これは,イギリスのマクミラン外相で,スイスのジュネーヴで開かれた四カ国巨頭会談から帰つて来たのです。
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先月の18日から6日間にわたつて,全世界の注目をあびて開かれた,アメリカ,イギリス,フランス,ソヴィエトの四カ国巨頭会談は世界の平和への出発点といわれています。イギリスの前首相のチャーチルは,以前から四カ国巨頭会談の熱心な提唱者で,何とか自分が首相に在任中,事をはこぼうと努力しましたが,ついにはたさず引退してしまいました。ところがチャーチルが引退して幾月もたたずに四カ国巨頭会談が実現し,しかも会談は,成功したのですから,チャーチルにとつては皮肉なことともいえます。
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